2008年4月9日  朝日新聞
生ごみ発電万博の夢消滅
 05年の愛知万博の注目施設のひとつだった、生ごみを使った発電装置が、この3月に姿を消した。万博後、
愛知県常滑市の中部空港近くの埋め立て地に移され、実用化をめざした実験が続けられていたが、一般電力の
20倍もの費用がかかるため、愛知県が実験の継続をあきらめた。
 環境への取り組みに力を注いだ愛知万博ではサブテーマのひとつに「循環型杜会」が掲げられ、生ごみ発電
や太陽光発電といった新エネルギーで「日本館」の電力がすべて賄われた。185日間の開催期問中、会場内の
レストランから出た生ごみを発酵させてメタンガスをつくり、そこから得た水素を酸素と結びつけることに
よって電気を発生させた。生ごみ装置の建設費には約7億円がかけられた。05年9月の万博閉幕後、生ごみ発電
を担った独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)が、発電装置を愛知県企業庁が埋め
立てた中部臨空都市にある「あいち臨空新エネルギー研究発電所」の中に移した。常滑市の小・中学校の給食
や知多半島にあるスーパーマーケット約30店、発電所に近い約200世帯の地区などから出る生ごみを集め、
昨年3月〜12月の10ヵ月間、発電の実験を続けた“1日4.8トンの生ごみを処理し、都市ガスから抽出した水素も
合わせることで一般家庭28軒分の年間使用量に当たる10万4千キロワット時の発電量を、隣接した常滑浄化
センターと常滑市役所に供給してきた。県がこの4月にNEDOから、あいち臨空新エネルギー研究発電所の運営
を引き継いだが、生ごみ発電装置については稼働経費がかさむことが予想されるため、NEDOに依頼して今年
1〜3月に撤去してもらったという。県によると、粉砕や液状化させた生ごみのPH値を測る作業が機械化
できないため、人件費が相当かさみ、薬品代なども含めると1年間稼働させるのに約2億円かかるという。
一日中最大出力したとすると、ーキロワット時当たり285円かかり、電力会杜の一般電力の約14円に比べると
約20倍に上ると試算した。県は今後、撤去した発電施設の跡地で、新たな発電方法の実験に取り組む方針で、
実施企業を公募する。太陽光発電の研究など、すでに3杜から問い合わせがあったという。
 県産業労働部の担当者は「地元の生ごみで発電し、地元で電気を使うのは循環型杜会の実現につながる。
愛知万博の施設を使ったプロジェクトなので続けたかったが、コストがかかりすぎる」と話す。(小山裕一)

やめたのは当然-NPO法人・環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長の話-
 愛知万博の目玉のひとつだったのだろうが、愛知県がコスト高の「ごみ発電」をやめたのは当然だ。
日本のエネルギー政策は、新しい技術を開発することには一生懸命だが、それを普及させるという視点に
欠けている。新エネルギーの研究という大きな事業は県ではなく、国や企業が担うべきものだ。